減塩による塩分過多の解消で健康増進

減塩による塩分過多の解消で健康増進

「日本人は塩分過多」と言われています。

塩分の摂り過ぎは様々な生活習慣病を引き起こし、健康診断でメタボ(リックシンドローム)と診断され、食習慣の見直しや運動を心がけるようになった人も多いのではないでしょうか?

2020年の健康調査では、食塩摂取量の目標値(男性 7.5g 未満 女性 6.5g 未満)に対して、実際の塩分摂取量が、男性 10.8g、女性/9.2g と、明らかに摂りすぎているデータもあり、世界と比較しても、日本人の塩分の摂取量は多いといえます。

これは、日本人の食習慣に醤油や味噌を使った料理が多いこと、そして外食の習慣が一般化したことや、西洋の食文化が入ってきて洋食や加工食品が食卓に並ぶようになったことも要因の一つでしょう。

今回は「減塩」をテーマとして、どんな対策をすれば食塩摂取量を減らすことができるのか、を考えていきましょう。

1日の塩分摂取量の基準を意識する

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準」の最新版である2020年の内容によると、食塩は男性7.5g未満女性6.5g未満、高血圧などの疾患のある人は6g未満となっています。

2016年(平成 28 年)基準から、さらにマイナス0.5gと年が進むごとにより塩分摂取を控えるよう推奨されてきました。

外食では、なかなか減塩を心がけているお店を探すことは大変です。

味の濃いものを食べるための外食という意味合いも強いでしょう。となると自宅での食事を意識していくしかありません。

洋食と米を組み合わせた外食チェーンには、1食だけで1日の摂取量を上回ってしまうメニューもあります。

代謝量が多く、運動習慣もある若年層ではなく、疾病がある高齢者が食べられるメニューが無いケースもあるでしょう。

先の「日本人の食事摂取基準」の基準から、1日3食として1食あたり摂取できる塩分量は、2.5g程度と、そう多くありません。

日本特有の醤油や味噌を使う習慣と、洋食文化の流入が相まって、塩分過多になりがちな現状を対策していく方法を考えていきましょう。

食材や調味料を減塩タイプに変えてみる

写真:醤油の写真

日々の食事で「減塩を心がけること」と、「適度な運動習慣」が健康を維持する上で重要です。

特に食事は使用する調味料や調理方法を変えるだけで減塩できますので、やらない手はありません。

さらに食材は旬のものを選ぶことで効果的に季節に合った栄養素を補うことができます。

まず、簡単に実行できることとして、調味料を減塩タイプにすることが挙げられます。

和食では必須となるお味噌汁や、調理時に使用する醤油など、こちらから減塩タイプに変えてみましょう。

味など好みのものを見つけるために、色々と試してみることをオススメします。

もし、お味噌汁が味気ないと感じた時は、汁を濃くするのではなく、具材を増やしていくことで風味が増します。

これが野菜であれば栄養バランスも向上します。汁そのものの量も減らせることで、塩分量を減らすこともできます。

ハムやベーコンといった減塩できる調味料や食材例 、最初から塩分が多く含まれているので、使用する場合は、調味料を控えましょう

かまぼこやちくわなどの加工品にも塩分が多く含まれています。

ちくわは1本あたりの塩分が3gと、多く含まれていますので、使いすぎに注意が必要ですね。逆に、これらの食材を味付け要因として考えられると余計な調味料を使わずに済みます。

梅干しも1個で2g、漬物も数切れで同等の塩分量ですので、減塩タイプを探してみるのも良いでしょう。

保存が効く食材には、塩分が多く含まれていることがよくわかりますね。

減塩できる調味料や食材例

  • 醤油・味噌などの調味料を減塩タイプに替える
  • 旬の食材を活用する

古い習慣の見直しと調理方法を工夫することで減塩を実現できる

習慣として、料理にお醤油をかける場面が多くあります。

そこで「かける」ことから「つけて食べる」スタイルにすることで、塩分の摂取量を抑えることが可能です。

つい癖で焼き魚やお豆腐にドバッとかけてしまうのは、塩分の摂取量を増やす行為です。

習慣といえば、ラーメンやうどんのスープを飲んでしまう人。

一杯分のスープだけで塩分量は 7〜8gもあるので、アッという間に基準摂取量を超えてしまいます。

誘惑を断ち切って、残すだけで健康を意識できるとしたら、一番ラクな方法ともいえますね。

もう一つの習慣といえば、パン食。

お米には塩分が含まれておらず、おかずや調味料から塩分を摂取することとなりますが、パン自体に食塩が使われており、さらにチーズやバター、ソーセージやハムを足すと、かなりの摂取量となってしまいます。

減塩によって物足りなさを感じる時の対策として、ハーブやスパイスで風味付けをすることも有効です。

柑橘系の酸味を活かす料理も取り入れてみましょう。

習慣でできる減塩

  • 醤油はかけるからつけるへ
  • 麺類のスープは飲まない
  • 素材の持ち味を活かした調理法
  • 味付けにハーブやスパイス、柑橘類で味わい深く

塩分過多な食習慣は、高血圧や動脈硬化そして心疾患などと綿密に結びついています。

塩分が体内に入ると、血液の流量が増え、血圧があがります。

血液内の塩分濃度が高まり、水分を得るために流量があがるためです。

そのため血液を送るポンプの役割をしている心臓に負担がかかり、高血圧状態から動脈硬化などを引き起こす可能性も高まります。

塩分を排出する腎臓にも負担がかかり、腎不全のリスクも上がります。

今回は食習慣の中で減塩していくヒントをお伝えしましたが、プラス、適度な運動をすることで発汗による塩分の排出も期待できます。

コロナウイルスによる活動自粛が叫ばれる中、外出が制限されてきましたが、「密」を避けた散歩や、家の中の掃除で汗ばむだけでも、かなりの効果が期待できます。

たまには好きなものを存分に食べたい!という時もありますが、その分、日ごろから減塩を心がけ、さらに運動も習慣づくと健康をキープできるのではないでしょうか?

上手な減塩方法については、みのりやの管理栄養士がアドバイスいたしますので、お気軽にご相談ください。

ご家族の疾病状況によって、栄養相談も承っております。

田中 稔也
著者田中 稔也

国家資格管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴公益社団法人福岡県栄養士会
筑後支部 山門分会長 
(任期:2007年~2009年)

メディア出演FMたんとにてラジオ番組
79.3MHz

2006年から内科専門病院にて病棟担当制の管理栄養士として月に100件以上の栄養指導に従事し、院内NST(栄養サポートチーム)の一員として活動。2010年に健康食・治療食宅配「みのりや柳川店」開店。2013年に「みのりや大牟田店」。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。