あなたのお腹周りは何センチ?メタボリックシンドロームの診断基準と対策

すっかり寒くなり、鍋の美味しい季節になりました。

寒さに負けて外に出る機会も減り、身体を動かすのも億劫な時期ですね。

となると気になるのがお腹周りです。「ちょっと太ったかな?」と放っておくと冬の間にどんどん成長し、気付いたときには「メタボです」となりかねません。

あらためてここでどんな状態がメタボなのか、またどのように予防をしていけば良いのかをご説明します。

メタボとはどんな状態を指す?どんな危険性が潜んでいる?

まず「メタボリックシンドローム(以下メタボ)」が指し示す状態についてですが、お腹まわりが男性で85cm、女性が90cm以上あると、項目の一つとして認定される可能性があります。(※参照 厚生労働省〜メタボリックシンドロームの診断基準より)

さらに血圧、血糖値、脂質の合計4項目のうち、2つが基準よりも悪いとメタボに認定されてしまいます。

具体的な数値を挙げると、血圧で上が130、下が85以上の高血圧ゾーン、血糖値は空腹時110mg/dl以上、脂質は中性脂肪値が150mg/dl以上もしくは低HDLコレステロール値が40mg/dl以下(男女ともに)。

こうなると、お腹にはすでに内臓脂肪が蓄積している状態でしょう。

この状態がなぜ良くないかというところですが、内臓脂肪によって普段の血糖値や血圧が上がりやすくなり、身体のあちこちに悪影響を及ぼすからです。

具体的には、脳梗塞や心筋梗塞、そして動脈硬化などの危険性が高まります。

生活習慣を見直して健康になる方法

では、メタボを改善するために効果的な生活習慣の改善方法をご説明していきましょう。

生活習慣と聞いて、どんなことを思い浮かべますか?

太る症状に影響があることですから、やはり食習慣や運動習慣はすぐに思いつきますよね。

そしてキチンとした睡眠習慣や休養、心肺機能や血管に影響が大きい喫煙や飲酒も含まれます。

  • 食習慣
  • 運動習慣
  • 睡眠
  • 休養
  • 喫煙
  • 飲酒

これら6項目を適正に保つことがメタボ状態から抜け出す行動となります。

食習慣でいうと、栄養素のバランスが悪い、食事の時間が不規則、三食をキチンと食べないなどイレギュラーな状態が太りやすい状況になりがちです。

朝食を抜けば次の食事量が増えカロリーオーバーによる急激な血糖値の上昇を引き起こします。

深夜の食事も寝るまでの時間が短く脂肪が蓄積しやすくなります。太る条件が揃うことになりますよね。

運動についても、筋力が弱まると基礎代謝量が落ち、同じカロリーを摂取していても消費に時間がかかります。

逆に筋トレで鍛えると短時間で消費カロリーが増え脂肪も燃焼しやすくなります。

現代人は忙しく「運動する時間を確保できない」という人も多いかもしれません。

しかしそこは日常生活の中でカバーしてみるのはどうでしょうか?

例えば、電車通勤でひと駅手前で降りて歩く、自宅でテレビを観る時間はストレッチをすると決めるなどなど。

部屋の掃除も良い運動になりますから頻度を増やしてみるのも効果的だと思います。

実行できそうな軽いところからはじめて徐々に習慣化、そして運動量を少しずつ増やしてみることをオススメします。

「スローカロリー」と「ベジファースト」が改善のカギ

最初に規則正しい食習慣に触れましたが、より詳しい食べ方や心掛け方を2つご紹介します。

まず「スローカロリー」という言葉。

これは、食べた食物の消化吸収をゆっくりと行う状態を指します。

といっても「そんなことコントロールできるの?」と思うかもしれませんが、栄養素の種類を間違えなければ大丈夫です。

例えば、ブドウ糖や砂糖などはすぐに体内で吸収され高血糖に繋がります。

お菓子やジュースばかり食べていると脂肪が蓄積しやすい状態になるということですね。

果物も果糖が含まれますので摂り過ぎに注意が必要です。

スーパーで「低GI値」という表記を見たことがありませんか?

GI=グリセミック・インデックスといって、その食物を食べた時に血糖値がどれくらい上昇するかを示したものです。

代表的なものはナッツ類やチーズ、そしてヨーグルトなどが挙げられます。

間食のお菓子をこれらに置き換えるだけでも血糖値が上がるスピードを抑えられるのでオススメです。でも摂りすぎは禁物です。

2つ目は「ベジファースト」です。

文字通り「野菜=ベジタブル」から「最初=ファースト」に食べましょう、野菜の食物繊維は血糖値の上昇を抑える働きがあるので、先に食べておくことが重要ということです。

野菜やキノコ類、その他海藻にも食物繊維が含まれていますね。

しかし野菜にも糖類が多い種類もあります。

根菜類や芋類には多く糖分が含まれていますので献立のメニューを確認してから食べ進めましょう。

食物繊維の次は、タンパク質。いわゆる肉や魚などのメインのおかずですね。

そして最後に主食である米やパンなどの炭水化物という順でいただきましょう。

お米も白米を玄米に置き換えると糖の吸収を遅くすることができますよ。

なぜ血糖値が早く上昇することが良くないかということですが、急激な血糖値の上昇が起こると身体はインスリンを多く分泌し、血糖値を下げようとします。

それでもインスリンと合成しそびれた糖分は脂肪として体内に蓄えられるのです。

この状態は糖尿病のリスクを上げてしまいます。

ここまで紹介してきた生活習慣の改善や、栄養素の摂取方法を置き換えたりすることで、メタボにならない、または症状を良くしていく効果がありますので、少しずつ実行し新たな良い習慣づけをしていきましょうね。

寒くなり鍋が美味しい季節ですが、美味しく楽しんだ分の運動、食材の変更や食べる順序を意識して、血糖値の上昇を抑えましょう!

田中 稔也
著者田中 稔也

国家資格管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴公益社団法人福岡県栄養士会
筑後支部 山門分会長 
(任期:2007年~2009年)

メディア出演FMたんとにてラジオ番組
79.3MHz

2006年から内科専門病院にて病棟担当制の管理栄養士として月に100件以上の栄養指導に従事し、院内NST(栄養サポートチーム)の一員として活動。2010年に健康食・治療食宅配「みのりや柳川店」開店。2013年に「みのりや大牟田店」。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。