前回は糖尿病の概要や種類など、そして少しだけ自覚症状に触れました。今回はその様々な自覚症状からどのように移行しどんな合併症が引き起こされるか、について説明していきたいと思います。国民病と呼ばれるほど予備軍も多いと言われるこの病気にいち早く気付き、早めの対策ができるように心がけましょう。30〜40代の方は、今回の記事を読んで、健康診断の結果を良く把握し、食事や運動など、健康をキープしたくなるはずです。
自覚症状をおさらいして、詳しく掘り下げてみよう
前回、自覚症状について「疲れやすい」「多尿」「口の乾き」「体重の減少」と、少しだけ触れましたが、具体的に説明していきます。これらの症状が出始めたら、糖尿病の疑いがあるということです。おさらいですが、糖尿病は「食事などから摂取するブドウ糖が身体からインスリンの分泌ができなくなったことで吸収されず、血液中の血糖値が上がりすぎる・コントロールできない」状態を指します。
・喉の乾き、多尿
〜血糖値が上がると血液がドロドロと動きが悪くなり濃い状態になります。水分が足りないと脳が判断することで、身体が水を欲するようになり、結果的に排尿の回数が増えるということです。
・食欲の増加
〜血液中に以上に増えたブドウ糖を処理しようとして脳がインスリンをたくさん分泌することで(まったく分泌しないわけではない)、食欲が増してしまいます。
・肥満から急激に痩せる・身体の怠さや疲れやすさ
〜身体を動かすためのブドウ糖を吸収できずに、筋肉や脂肪をエネルギーに変える働きをするので痩せていきます。さらに身体からエネルギーを必要とするために、疲れやすくなります。
・手足がつる・しびれる
〜糖尿病になると毛細血管が傷つき破壊されることで手足がチクチクと刺すような痛みを覚えることが増えます。血液がながれなくなることによって、こむら返りなどつってしまう機会も増えます。
・目のかすみ、視力低下など
〜毛細血管が傷つくことで、視力など目にも影響が出てきます。
最終的に進行すると合併症を発症する
上記の各症状を見ていくと、手足、目、腎臓(尿)に影響が出ることがよくわかりますよね。その3つに対分され「3大合併症」と呼ばれるほどです。
その3つの名称は、
- 糖尿病性神経障害→手足
- 糖尿病性網膜症→目
- 糖尿病性腎症→腎臓
となります。
「糖尿病性神経障害」
〜“末梢神経障害”とも言われ、手足の感覚に一番早く症状に現れます。同時に手足の感覚も鈍くなります。最初は痛みを感じますが、次第に神経の働きや失われ感覚を感じなくなっていきます。感覚が無いと傷を負っても気付きにくく、細胞が壊死するケースもあります。素足を避け、清潔な状態で外傷を追わないような工夫が必要となります。
「糖尿病性網膜症」
〜目の網膜が損傷し視力が落ちます。そのまま進行し白内障や失明といった決定的なダメージを負う可能性が高まります。糖尿病発症者の半数がこの網膜症になると言われています。自覚症状に乏しく、気付きにくいので眼科での定期的な診察が必要となります。
「糖尿病性腎症」
〜いわゆる腎臓で不純物を濾過できなくなり、「透析」療法となります。動脈硬化や心筋梗塞、脳梗塞も引き起こしやすくなります。この透析療法は週に数回、医療機関にて数時間、機械を使って人工的に濾過しなければなりません。この腎症は5つのステージに分かれており、1〜2期目は血糖のコントロール、3〜4期は蛋白や塩分・カリウムの制限、5期目に透析療法というステージに分けられます。透析は、1回あたり数時間の透析治療が必要となり、それが週に数回と続きます。多くの時間が必要となることがわかるでしょう。
食事や運動など、「日ごろ」の習慣を見直さなければ改善しない
糖尿病は、最初にあったとおり「国民病」として認知されている病気です。日本人特有の塩分が多い食事が、40歳を過ぎると自分が思っているよりも身体に負担をかけます。気持ちは若くとも、基礎代謝は落ち同じ食事量では栄養過多に陥っているケースも多いでしょう。
体力の低下は加齢とともに避けられない事実であり、健康をキープするためには若い頃の代謝に近づけるための筋力アップや、栄養バランスの良い食事、そしてストレスの少ない生活が必要不可欠です。
少しずつ体力が衰えていくことで、老化に気付くことは難しいですが、定期的な健康診断を受け、自分の身体がどうなっているかを、しっかりと把握することが糖尿病に罹らないための第一歩といえます。
あわせてお読みください
- 糖尿病にはどんな種類がある? その判断基準の症状は
- 糖尿病が引き起こす合併症。その前にどんな自覚症状があるの?
- 糖尿病に必要な食事療法とは