「カロリーオフ」と「ゼロカロリー」、どう違う? どれだけ食べても大丈夫?

ダイエット中、気になるのが食べ物や飲み物に含まれている「エネルギー=kcal」です。自分の基礎代謝量を把握しながら、1日にどれくらい食べてもいいか、またどんな栄養バランスを心がければ良いのか、についてこれまでご説明してきました。その食べ物のパッケージに表記されている「カロリーオフ」や「ゼロカロリー」という謳い文句は、やはり気になるところ。では本当に0kcalで済むのか、またどれくらい「オフ」になっているのかについて、意外な基準が存在していることを、これからご説明していきます。

目次

「オフ」とか「ゼロ」って何? そもそもどう違うの?

食品や飲料品のパッケージに「カロリーオフ」や「ゼロカロリー」と書いてある機会をよく目にすると思います。その他「無糖」などと表記されていることもあります(こちらはまた違う機会に)。

「オフ」は意味合い的には、カロリーがある状態から「減らした」状態であることはご理解いただけるかと思います。そして「ゼロ」といわれると、「どれだけ食べても飲んでも摂取カロリーがゼロなんでしょう?」というイメージがあるのではないでしょうか。では本当にそうなのか、をお伝えします。

厳密にはゼロではないんです。ちょっとショックじゃないですか? 「ゼロと信じて飲み続けていたドリンクに、実はカロリーが含まれていた」と。

「嘘じゃないか!」となるんですが厚生労働省による「栄養表示基準に基づく栄養成分表示」によると、「とある基準値内に収まるエネルギーであれば“0=ゼロ”と表記して良い(意訳)」と、既に定められているのです。簡単にいうとパッケージにカタカナで「ゼロカロリー」と表記されている商品が本当に0kcalとは限らないということですね。

基準を満たしていれば「カロリーオフ」や「ゼロカロリー」と謳ってもよい

その表記だけを信用してしまうと、いつの間にかカロリーを摂取してしまっている可能性があります。少し具体的に説明すると、食品・飲料ともに100gあたり5kcal未満であれば「ゼロカロリー」と表記しても良いことになっています。“未満”であれば「それ以上のカロリーは無い」という認識をすることもできますが、ちょっとショックですよね……。

次に「カロリーオフ」と表記しても良い基準について。食品で100gあたり40kcal未満、飲料で100gあたり20kcal未満。「カロリーオフ」だけでなく「低カロリー」「ライト」といった表記もこの範疇に含まれています。500mlペットボトルの清涼飲料水を1本飲むと、100kcal近くもカロリーを摂取してしまっている可能性もあるということですね。

「ゼロカロリー」は厳密に0kcalではない、「カロリーオフ」などの表記は、意外とカロリーが含まれている可能性がある、と覚えておきましょう。大きな見出しに惑わされず、成分表示を確認するクセをつけるのも良いかと思います。

【表記基準】
ゼロカロリー……100gあたり5kcal未満
カロリーオフ……100gあたり40kcal未満(食品)、同20kcal未満(飲料)

使われている糖類の種類によっても表記が変わる複雑さ

最後に似たような問題を一つ。先の「ゼロカロリー」にも似た言葉ですが、「糖質ゼロ」という商品をみかけたことがあると思います。糖質と似た言葉で「糖類」もあります。

大きく分類すると「糖質」の中に「糖類」が含まれています。もう少し詳しく掘り下げると「糖質」という大きい括りの中に、「単糖類」「二糖類」「多糖類」が存在しています。しかし「多糖類」は「糖類」には含まれません。ちょっとややこしいですよね。

先に紹介した「単糖類」と「二糖類」が糖類に分類されます。今回は栄養素についてではなく、「〇〇ゼロ」という表記についてですので、あくまで分類について覚えていただければ、と思います。

【表記基準】
糖類ゼロ……○多糖類 ✕単糖類・二糖類
糖質ゼロ……✕単糖類・二糖類・多糖類
糖質オフ……○単糖類・二糖類(100gあたり40kcal未満(食品)、同20kcal未満(飲料))

なんだかややこしいですが、今回のまとめとして「ゼロはゼロではない」「オフでも意外とカロリーがある」と覚えておいていただくと良いかもしれません。

次回は、今回のカロリーオフや糖質オフと書かれている食品・飲料によく使用されている」人工甘味料」についてお話したいと思います。今回紹介した各種表記を実現させるために、カロリーはたしかに控えめだけど、きちんと甘みは感じられて満足感を得られる仕組みについて、ご説明していきますのでお楽しみに!

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この記事を書いた人

田中 稔也のアバター 田中 稔也 管理栄養士

国家資格
管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴
公益社団法人福岡県栄養士会筑後支部 山門分会長 (任期:2007年~2009年)

メディア出演
FMたんとにてラジオ番組放送中79.3MHz (毎週水曜12:27~)

高校卒業後、料理人を志し地元の和食店にて修行。栄養学に興味を持ち始め平岡栄養士専門学校へ入学。調理師、栄養士免許取得後、特別養護老人ホームの調理現場責任者に従事。2年の現場経験の後、独学で管理栄養士国家試験を受験し一発合格。その後、内科専門病院にて病棟担当の管理栄養士として糖尿病を主とした生活習慣病患者の栄養指導を毎月100件以上行い糖尿病療養指導士取得。院内ではNSTチームメンバーとして活動。2006年〜2008年、福岡県筑後地区栄養士会分会長就任。任期満了後、退任。
現在は健康食に特化した配食事業の会社を2010年から経営。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。
また、これまでの経験を活かし管理栄養士として、食に関連した生活習慣病の改善、美容、ダイエット等の健康情報を発信をしています。 

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