間違ったダイエットを繰り返すと痩せづらくなる 〜基礎代謝量の話

前回は炭水化物を極端に摂取しないダイエット法の弊害についてお話しました。様々な情報に踊らされ、次々と違うダイエット法を繰り返すうちに、身体が痩せにくい状態に陥っている可能性があります。今回はその「痩せにくく」なる原因と、密接に関わっている「基礎代謝量」について、ご説明していきます。

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間違ったダイエットを繰り返すたびに痩せにくくなる身体

炭水化物抜きダイエットは、身体や脳を動かすための重要なエネルギーを摂取できず、「水分だけが減り体重が落ちている状態」であることは前回の記事の通りです。その他、様々な「〇〇ダイエット」を耳にしますが、栄養バランスが十分に摂取できている状態、かつ十分な睡眠と適度な運動こそが理想的であると、ここで繰り返し肝に命じていただきたいです。

これまで、筋肉をキープしたまま代謝量を落とさず脂肪を減らすことが、自然なダイエットだと説明してきました。もし様々なダイエット法を試し、そのたびに「失敗した」と感じ、次のやり方を探すダイエットジプシー状態となると、いつの間にか痩せにくい身体になってしまっている可能性が高いのです。それは何故か?

ダイエットを試すたびに脂肪ではなく筋肉が落ちてしまい、リバウンド時には脂肪が増えるという悪循環が起こっているからです。筋肉が落ちてしまうと基礎代謝量も減り、同じ食事量でも脂肪がつく割合が増えます。簡単に太りやすく痩せにくい状況になっているということですね。

筋肉は運動でしか増えないことから、食事だけで健康的に痩せることは難しいことを実感していただけるのではないでしょうか。

そもそも自分の基礎代謝量がどれくらいか知ってる?

まず「基礎代謝量」がどういうものであるか、ですが「呼吸など行きていく上で最低限必要となる生命維持のためのエネルギー量」を指します。

何もしていないつもりでも心臓は動いていますし、外出しなくても家の中で歩いたりはしますよね。ただ基礎代謝量だけでも1日のエネルギーの70%を占めていますので、筋肉をつけて代謝量を増やすことに大きな影響があることがわかります。そして、この基礎代謝量を知ることによってはじめて摂取カロリーをコントロールできるのです。

自分の基礎代謝量を知るには代表的な計算式があります。まず「ハリス・ベネディクト方程式」という式を用いて計算します。性別・年齢・身長・体重を入力すると「XXXXkcal」とはじき出すことができ、1日のカロリー摂取量がわかります。

それだけでなく、基礎代謝量に数段階に分けられた「活動レベル」をかけ合わせたものが「総消費カロリー」として算出されます。

例えば、とある30代男性の基礎代謝量が2000kcalだと仮定して、そこに活動レベルが1000kcalだとすると、合計3000kcalとなります。この活動レベルは平日毎日ハードな肉体労働をするほどですが、ここから減量をしたい場合、この中間値が「推奨カロリー」となります。

「(基礎代謝量+総消費カロリー)÷2=推奨カロリー」となります。ですので、この例でいうと2500kcalを1日の摂取カロリーとすると、健康的にやせられる指標となる、というわけですね。

成功に近道なし。やはりバランスの良い生活を心がけることが重要

ダイエットを成功させるには、流行り健康食品を多く摂取するといった極端なことをしても、あまり意味がない、むしろそれを繰り返すほどに痩せにくい身体に変貌してしまう可能性もあることがご理解いただけたのではないでしょうか。

今回お伝えした「基礎代謝量」という概念を認識すれば、毎日どれくらいの食事を摂取しても良いのか、またこれ以上食べるとカロリーオーバーだと知れる良い指標となると思います。

一時的に身体の水分量を減らし、体重の値に一喜一憂するのではなく、また食品だけで体重をコントロールしようとするのではなく、健康的な栄養バランス、適度な運動、十分な睡眠に勝るものなしと思い知ることが重要です。

基礎代謝量で自分を知る。無理のない適度な運動をする時間を確保する。夜いつまでもダラダラと起きていない。基本的なことですが現代人にはなかなか難しいことだとは思いますが、ダイエットだけでなく成人病の予防などの観点からも、これらを意識した生活をしていきましょう!

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この記事を書いた人

田中 稔也のアバター 田中 稔也 管理栄養士

国家資格
管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴
公益社団法人福岡県栄養士会筑後支部 山門分会長 (任期:2007年~2009年)

メディア出演
FMたんとにてラジオ番組放送中79.3MHz (毎週水曜12:27~)

高校卒業後、料理人を志し地元の和食店にて修行。栄養学に興味を持ち始め平岡栄養士専門学校へ入学。調理師、栄養士免許取得後、特別養護老人ホームの調理現場責任者に従事。2年の現場経験の後、独学で管理栄養士国家試験を受験し一発合格。その後、内科専門病院にて病棟担当の管理栄養士として糖尿病を主とした生活習慣病患者の栄養指導を毎月100件以上行い糖尿病療養指導士取得。院内ではNSTチームメンバーとして活動。2006年〜2008年、福岡県筑後地区栄養士会分会長就任。任期満了後、退任。
現在は健康食に特化した配食事業の会社を2010年から経営。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。
また、これまでの経験を活かし管理栄養士として、食に関連した生活習慣病の改善、美容、ダイエット等の健康情報を発信をしています。 

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