炭水化物抜きダイエットの注意点について

様々なダイエット方法が存在していますが、一時期、炭水化物抜きダイエットが流行りましたね。大きなカロリーを避けるように、米やパンなど炭水化物が多く含まれる主食を極端に減らす・無くす方法です。そのかわり、肉や魚などたんぱく質などが多く含まれる食材からエネルギーを得る食事法ということですね。では改めてその注意点について、改めてご説明していきます。

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やると確実に体重が減る炭水化物抜きダイエットだが…

ダイエットに励むみなさん、今どんな方法で取り組んでいますか? 健康に体重を落とすには食事制限だけでは難しいと感じている人もいるでしょう。そのとおりです。摂取カロリーを減らすことや、糖質や脂質を減らすことに躍起になっている人は、必要な栄養素が摂取できず健康面や精神的に参ってしまうケースもあるのではないでしょうか。

脂肪を落として減量していくのがダイエットですが、炭水化物を極端に減らすこのスタイルがどういう状態になるかを説明していきます。

まず体内に蓄えているグリコーゲン(糖質)が、結合している水分とともに排出され体重が落ちています。エネルギーごと水分と一緒に出ていくイメージがわかりやすいかもしれませんね。それじゃダメなの? となりますよね。それは脂肪が落ちているわけではなく、水分の重さが減って数字上では落ちているということです。1日で1kgくらいはカンタンに落ちますが、そもそも人間の身体はそうなっています。排泄以外にも皮膚から発汗などをして常に水分が出ていっている状態ですので、食事や水分補給を適切に行わないと、人間の身体は防御本能が働き、違う症状が現れます。

炭水化物がなくなると身体にどんな変化が起こる?

炭水化物を抜くと生命活動をするためのエネルギーが不足します。体内に蓄積された糖質を分解することでエネルギーを身体中に行き渡らせ、行動したり思考したりすることができるという、生命活動において基本的なことができなくなります。

外から炭水化物が入ってこなくなると、身体が「飢餓状態」となり、身体がセーフティモードに移行します。少しの食事でも身体が脂肪を貯めやすくなる「省エネ体質」になってしまい、逆に太りやすくなります。また、タンパク質も不足しがちになることで、肌や髪の毛など見た目に直結する部分のハリやツヤがなくなり、老けたように見られてしまう可能性もあります。筋肉も分解されて行く方向に移行しますので、基礎代謝が落ち、ますます太りやすく、脂肪だけが減らない状態となります。不健康で悪循環な状況ですね。

その状態が進むと、いよいよ脂肪がエネルギーとなるために変質するのですが、脂肪が分解されると「ケトン体」という物質が生成されます。ケトン体は脳のエネルギー源となりますが、この状態になると口臭や体臭がキツくなります。炭水化物抜きダイエットがエスカレートして臭い人は、ケトン体が生成されているということですね。

匂いだけでなく、そもそも弱アルカリ性に保たれている血液がケトン体によって酸性になり、免疫が落ちウイルスや細菌の影響を受けやすくなり、ガンなど多くの病気になりやすい状態になります。

炭水化物を減らしてカロリーを少なくすれば痩せる、という短絡的な考え方が非常に危険であることがおわかりいただけると思います。

無理のないペースでダイエットしよう

そもそも脂肪1kgがどれくらいのカロリーを含んでいるかご存知でしょうか? およそ7000〜9000kcalと、かなりのエネルギー量があります。

成人男性が1日の摂取カロリーとして推奨されているのが、約2500kcalほどですから、3日間飲まず食わずであれば、1kgの減量ができるかもしれませんがとても現実的ではありません。

生命活動や健康を維持しながら、基礎代謝も十分にある状態でなければ、不健康まっしぐらですよね。

では1kgのダイエットを無理なくするためには、どれくらい頑張らなくてはいけないのでしょうか? ちょっと例を出してみましょう。1kg=7000kcalとして、1ヶ月で減量したい場合。

7000kcalを30日で割ると、1日240kcal。1日3食を通じて、必要カロリーから240kcalを減らせば良いことになります。「じゃあごはんを摂らなければカンタンじゃない?」と考えるのは待ってください。炭水化物を抜くと身体が危険な状態になることは、すでにご説明しましたので、その危険性はおわかりいただいていると思います。

炭水化物であるご飯は無くさず、少しずつ「減らす」ことが重要です。ごはん150gでちょうど240kcal。朝昼晩で食べるご飯の量を50gずつ減らすと、1日240kcalを減らすことができ、これを1ヶ月続けると、マイナス7000kcalという計算になりますね。その頃にはキレイに1kg脂肪が落ちている、というシミュレーションができます。これなら無理なくできると思いませんか?

まず自分の基礎代謝を知る。それから食生活がどうなっているかを確認して、主食を無くすのではなく「減らす」。そうすれば必要な栄養素をとり健康でありながらゆるやかに脂肪を減らしていけます。ここで忘れてはいけないのが「運動」です。食べるものだけでどうにかしたいというのは、もともと運動が減っている現代人にとって強く意識しないといけないポイントにもなっています。

運動と十分な栄養素で筋肉量(代謝量)を維持しつつ、健康でキレイなダイエットを心がけましょう。無理な方法では身体にしっぺ返しがきてしまいますよ!

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この記事を書いた人

田中 稔也のアバター 田中 稔也 管理栄養士

国家資格
管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴
公益社団法人福岡県栄養士会筑後支部 山門分会長 (任期:2007年~2009年)

メディア出演
FMたんとにてラジオ番組放送中79.3MHz (毎週水曜12:27~)

高校卒業後、料理人を志し地元の和食店にて修行。栄養学に興味を持ち始め平岡栄養士専門学校へ入学。調理師、栄養士免許取得後、特別養護老人ホームの調理現場責任者に従事。2年の現場経験の後、独学で管理栄養士国家試験を受験し一発合格。その後、内科専門病院にて病棟担当の管理栄養士として糖尿病を主とした生活習慣病患者の栄養指導を毎月100件以上行い糖尿病療養指導士取得。院内ではNSTチームメンバーとして活動。2006年〜2008年、福岡県筑後地区栄養士会分会長就任。任期満了後、退任。
現在は健康食に特化した配食事業の会社を2010年から経営。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。
また、これまでの経験を活かし管理栄養士として、食に関連した生活習慣病の改善、美容、ダイエット等の健康情報を発信をしています。 

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