栄養素について考える 〜鉄分編

「鉄分」は、血液に重要な影響を与える栄養素の一つです。貧血を防ぐために重要な役割を持っています。そして、ひと言で鉄分と言っても種類があること、そしてどんな食べ物に含まれているかを見ていきましょう。吸収率を上げる方法についても説明していきます。

目次

赤血球に含まれるヘモグロビンの原料となる鉄分。不足するとどうなる?

女性は特に気になるであろう「貧血」。これは血液中にある赤血球に関連しています。赤血球中のヘモグロビンは鉄分を原料としているため、鉄分が少ない状態になると全身に酸素が行き渡らず「鉄欠乏性貧血」となってしまいます。ヘモグロビンを十分に作り出せない状態が続くと、ずっと体調不良に見舞われてしまうということですね。血液中の赤血球は全身に酸素を運ぶ重要な役割をしていることを、ここで改めて認識しておきましょう。

「鉄欠乏性貧血」は、服薬している薬の影響や身体の成長、妊娠などによっても起こります。また女性の生理や潰瘍など慢性的な出血によって貧血となることもあります。女性の生理に関連深いと説明しましたが、その他にも肌のシミやシワが増える老化現象も鉄分不足からきている可能性も考えられます。

通常時でも、鉄分不足によって疲れやすくダルさやめまいなど、全身が疲労状態のような症状が現れることがあります。それでは、どんな食生活を送れば鉄分を効率よく摂取できるのか、説明します。

2種類のヘム鉄と非ヘム鉄、鉄分を多く含む食材

まず1日に必要な鉄分の推奨摂取量ですが、15〜17歳でみると男性が9.5mg、女性が10.5mgとなっています。繰り返しますが生理が始まる年齢以降は推奨量も男性より多くなります。

鉄分には大きく2つに分けられる種類がありますが、動物性食品(肉・魚)に含まれる「ヘム鉄」。そして植物性食品や乳製品に含まれる「非ヘム鉄」があります。前者は吸収率が高く、後者は低いという特徴があります。

【鉄分の多い食材】

  • ヘム鉄(吸収率15〜20%)……レバー、赤身肉、カツオやサンマ(赤身系の魚)など
  • 非ヘム鉄(吸収率2〜5%)……ひじき、海藻、ほうれん草、小松菜など

鉄分をより良く吸収するための食材

鉄分が多く含まれる食材を記載してみましたが、2種類のヘム鉄で吸収率が大きく違います。

野菜から鉄分を多く摂るには効率が悪いように感じますが、ビタミンCを多く含む食材と一緒に摂取することで吸収率を上げることができます。そのビタミンCを多く含む食材として挙げられるのが、ブロッコリーやピーマン、レモンなどの柑橘系、イチゴなどの果物が該当します。例えばブロッコリーやピーマンを豊富に使った野菜サラダに、レモンのしぼり汁等で風味付けをしたりとひと工夫することで、ビタミンCとの組み合わせにより鉄分をより吸収できると思います。さらにレバニラ炒めなんかも、レバー(鉄分)×ニラ(ビタミンCなど)の組み合わせとなりますのでオススメできるメニューです。

逆に、吸収を阻害する栄養素もあることを紹介しておきます。 カルシウムのページでも登場した「タンニン」。コーヒーや紅茶、お茶に含まれるタンニンは鉄分の吸収をブロックしてしまいますので、同時に摂取するのは避けておいた方が良いでしょう。ただ、麦茶には含まれていないので大丈夫です。

ビタミンCだけでなく動物性タンパク質も吸収率アップに貢献

鉄分を効率よく吸収するために、ビタミンCとの同時接種がオススメと説明してきましたが、もうひとつ、動物性タンパク質も吸収を助けてくれる働きがあります。肉や魚メニューはそれだけでタンパク質が含まれていますから積極的に摂取するように心がけましょう。赤身の肉や魚にはヘム鉄が含まれていますが、同時にタンパク質も豊富にあります。

特に女性に注意してほしい貧血について

女性に多い貧血。場合によっては鉄剤とよばれる錠剤で対策する場合もあります。もともと貧血気味の方が食生活で改善しない場合は、お医者さんとの相談によって処方してもらうケースもあるでしょう。胃の粘膜を刺激し吐き気などが伴うこともあります。どの年代においても食事制限ダイエットを行うことによって栄養価の偏りが生じて鉄分不足に陥ってしまいがちですので、身体を守るためにもバランスの良い食事を心がけてください。

最後になりますが、鉄分の吸収率を上げる食べ合わせを意識して効率よく摂取していきましょう!

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この記事を書いた人

田中 稔也のアバター 田中 稔也 管理栄養士

国家資格
管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴
公益社団法人福岡県栄養士会筑後支部 山門分会長 (任期:2007年~2009年)

メディア出演
FMたんとにてラジオ番組放送中79.3MHz (毎週水曜12:27~)

高校卒業後、料理人を志し地元の和食店にて修行。栄養学に興味を持ち始め平岡栄養士専門学校へ入学。調理師、栄養士免許取得後、特別養護老人ホームの調理現場責任者に従事。2年の現場経験の後、独学で管理栄養士国家試験を受験し一発合格。その後、内科専門病院にて病棟担当の管理栄養士として糖尿病を主とした生活習慣病患者の栄養指導を毎月100件以上行い糖尿病療養指導士取得。院内ではNSTチームメンバーとして活動。2006年〜2008年、福岡県筑後地区栄養士会分会長就任。任期満了後、退任。
現在は健康食に特化した配食事業の会社を2010年から経営。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。
また、これまでの経験を活かし管理栄養士として、食に関連した生活習慣病の改善、美容、ダイエット等の健康情報を発信をしています。 

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