まだまだ続く残暑。食中毒は予防三原則で防止しよう

朝晩は少し秋の気配を感じるようになりましたが、日中の陽射しの強さは続いていますね。

しのぎやすくなってきた今、夏の疲れがドッと出て体調を崩される方が増えるタイミングでもあります。

日ごろの食事から栄養を摂取し元気に!と、行きたいところですが、暑い時期に気をつけなければ行けないことがあります。

それは「食中毒」です。気温や湿度の高い夏場は、菌の繁殖するスピードがとても速く、食材の調理や保管にシビアにならなければ、食中毒を引き起こす可能性が高まり大変危険です。

今回は食中毒の対処方法や繁殖する条件などについて、お話していきたいと思います。

目次

食中毒にはどんな種類があるの?

「食中毒」といっても、その原因菌は数多くあります。

大きく分けて細菌性のもの、そして寄生虫、ウイルス、化学毒などなど。また原因菌によって発生しやすい季節も異なります。

やはり、夏場の高温多湿な状況で繁殖してしまう細菌性のものが、みなさんにもイメージしやすいかと思います。

今回は、まだ夏場ということで、細菌性のものが引き起こす食中毒についてご紹介します。

細菌性の食中毒は主に「感染型」と「毒素型」の2つに分けられます。

まず「感染型」の代表例として、サルモネラ菌やO157(腸管出血性大腸菌)などが挙げられます。

ニュースでもよく耳にする名称ですよね。

サルモネラ菌は、卵や加熱されていない肉などに多く潜んでいます。

感染しないようにするにはしっかりとした加熱調理が必須です。

生で食べなければ大丈夫です。

O157(腸管出血性大腸菌)も肉に潜んでいるケースが多く、特にレバーやユッケなどの生肉や、ローストビーフなどの生の部分が残るような加工品に注意が必要です。

これらが引き起こす食中毒の症状ですが、サルモネラ菌は激しい腹痛や発熱、下痢、嘔吐が3〜4日続きます。

O157(腸管出血性大腸菌)は、激しい腹痛と血便を伴う下痢の症状が現れます。

潜伏期間も1週間前後となる場合もあり、感染源が追えない場合もあります。

一般的な食中毒では、菌が体内に100万個入らないと発症しませんが、O157の場合は100個程度で発症してしまうほど感染力が強い菌といえます。

サルモネラ菌とO157ともに、75℃で1分以上の加熱をすることで菌を死滅させることができますので、きちんと火を通した食材を食べましょう。

次に「毒素型」について。

人の皮膚に常在している「黄色ブドウ球菌」も食中毒をひきおこす原因となっています。

特に、お弁当を素手で作っているケースを例に挙げますと、菌が人の手を介して食材に付着し、また食べられると同時に口の中に入り感染・発症してしまいます。

調理時は専用の手袋やラップなどを使って、素手で触れないように調理しましょう。

黄色ブドウ球菌は、付着した食品の中で増殖するとき、エンテロトキシンという毒素をつくりだしますが、加熱では破壊されないため厄介です。

発症すると、嘔吐、下痢、腹痛が数時間続きます。

以上、細菌性の食中毒の代表例についてご説明しました。

この他、ノロウイルスをはじめとした「ウイルス性食中毒」や、フグや秋のキノコにひそむ「自然毒」、魚に寄生するアニサキスなどの「寄生虫」、有害な金属の成分が何かしらの原因で体内に入ってしまい引き起こされる「化学毒」など、多くの種類があります。

温度や水分で菌が大繁殖!お弁当は菌繁殖の好条件環境

食中毒の原因菌が好む環境として、10〜60℃と湿度が高いところ、この2点で菌は大繁殖します。

さらに、菌にとってベストな条件は温度36℃、湿度60%以上。

やはり夏場は好条件が揃っていることがよくわかりますね。

となると、お家でできる対策にどんなことがあるのか?ということが気になるところでしょう。

わかりやすい例えとして、調理した時間から数時間後に食べられるお弁当は菌が繁殖するシチュエーションにぴったりとハマります。

しかしお子さんにどうしても持たせなければいけない状況もありますよね。

できる対策として、まずお弁当箱をきちんと消毒した状態で食材を詰めるようにしてください。

細菌がついていない状況を作ることが大事です。

洗った後は十分に乾くまで使わないこと。

次に、食材を詰める時はしっかり冷やしてから。

温かさが残った状態で詰めると弁当箱の中で蒸気が水分となり食材の傷みを早めてしまいますし、湿度の高さから菌が繁殖していく原因となります。

そして水分の多い食材をできるだけ使わないことも有効です。

煮物やフルーツなど水分が多いメニューは避けましょう。

予防三原則を覚えておこう

食中毒の種類や症状、菌が繁殖しやすい条件などについてお話してきましたが、夏は身体の疲れが出やすい時期でもあるため、菌につけ入られるタイミングともいえます。

せっかく栄養たっぷりの食事を摂ろうとしても、調理法や季節に合わない食材を選んでしまうと簡単に食中毒を引き起こしてしまう条件が揃います。

ここで食中毒の菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」という三原則を覚えておきましょう。

まず「つけない」ですが、食材に最初からついている菌を、調理中に他の食材に移さないことが大事です。

調理器具の洗浄・消毒はもちろん、分けて保管するなど、菌を移動させない意識付けが必要です。

そして「増やさない」。

菌をまったくのゼロにすることは難しく、できるだけ菌を繁殖させないような調理方法が必要となります。

温度や湿度など菌が増えやすい条件を避けて調理、そして時間をおかずにすぐ食べるなど、迅速な対応が必要です。

最後に「やっつける」。食中毒の菌は熱に弱く、きちんと加熱すれば死滅するものが多いです。

できるだけナマ物を食べることは避けて調理法で菌を“やっつけ”ましょう。

まだまだ残暑によって食品が傷みやすい時期です。

臭いなどにも気をかけて安全に食材を管理するだけで食中毒の可能性もグッと下げることができます。

涼しくなるまで、あと少し。気を抜かず菌を繁殖させない調理法で健康をキープしましょう。

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この記事を書いた人

田中 稔也のアバター 田中 稔也 管理栄養士

国家資格
管理栄養士・調理師
その他資格
糖尿病療養指導士・食育指導士

経歴
公益社団法人福岡県栄養士会筑後支部 山門分会長 (任期:2007年~2009年)

メディア出演
FMたんとにてラジオ番組放送中79.3MHz (毎週水曜12:27~)

高校卒業後、料理人を志し地元の和食店にて修行。栄養学に興味を持ち始め平岡栄養士専門学校へ入学。調理師、栄養士免許取得後、特別養護老人ホームの調理現場責任者に従事。2年の現場経験の後、独学で管理栄養士国家試験を受験し一発合格。その後、内科専門病院にて病棟担当の管理栄養士として糖尿病を主とした生活習慣病患者の栄養指導を毎月100件以上行い糖尿病療養指導士取得。院内ではNSTチームメンバーとして活動。2006年〜2008年、福岡県筑後地区栄養士会分会長就任。任期満了後、退任。
現在は健康食に特化した配食事業の会社を2010年から経営。地域の皆さまへ「本当に安心・安全な食を提供し、健康で豊かな生活を送るお手伝いをしたい」との想いで日々仕事に励んでいます。
また、これまでの経験を活かし管理栄養士として、食に関連した生活習慣病の改善、美容、ダイエット等の健康情報を発信をしています。 

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