日常的にスーパーなどで購入するお弁当やお惣菜、お菓子、パンなどの食品類。
そのパッケージには、さまざまな情報が記載されています。
原材料や栄養価など、多くの情報を知ることができ、時には比較の条件として見ている方も多いでしょう。
その栄養成分などにまつわる表示方法が、法令により2020年4月1日から切り替わりました。
「食品表示法」として2015年より施行され、従来の「食品衛生法」「食品増進法」「JAS法」が一元化されました。
ふだん何気なく見ている成分表示について、どんなところが大きく変わったのか?
今回は変更点を説明していきましょう。
アレルギー品目表示の変更
まず、身体への直接的な影響が大きいアレルギーの表記について。
まず「義務」と「推奨」で品目が分けられており、それぞれ7品目と21品目が対象となっています。
合計28品目が表記されることになりました。詳細は以下のとおり。
【指定原材料:表示義務があるもの:7品目】
そば・落花生・乳・小麦・かに・えび・卵
【指定原材料に準ずるもの:表示が推奨されているもの:21品目】
あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、くるみ、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、豚肉、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン、アーモンド
例えば、これまではマヨネーズや生クリームなど、明らかに卵を含んでいる食材でも、表記の義務がありませんでした。
パンは卵だけでなく、小麦や牛乳などが多く使われていますよね。
これらは代表的なアレルゲンとして認知されていますが、表記されないことによって摂取してしまい、アレルギーを引き起こす可能性がありました。
具体的には、脳梗塞や心筋梗塞、そして動脈硬化などの危険性が高まります。
加工食品および添加物の栄養成分と原料原産地の表示義務化
レトルト食品やハムなどに代表される加工食品ですが、一般向けに販売されているものについては、五つの成分表記が義務付けられました。
これは添加物(一般向け)も含まれます。
その五つの成分ですが、「熱量:カロリー」「タンパク質」「脂質」「炭水化物」「食塩相当量」が表記対象となります。
「Kcal:キロカロリー」と表す「熱量」ですが、一般的な摂取の基準として、成人女性で1400~2000Kcal/日、成人男性で2200Kcal/日と定められています。
それを3(食)で割った数値が、1食あたりに推奨される摂取カロリーとなります。
個人差はありますが、合計カロリーがそれよりも上回った場合、カロリー過多ということですね。
「タンパク質」「脂質」「炭水化物」については三大栄養素として括られていますが、それらの頭文字をとってPFC比(P:プロテイン=タンパク質、F:ファット=脂質、C:カーボハイドレイド=炭水化物)と呼ばれ、それぞれPが13~20%、Fが20~30%、Cが50~65%の比率が理想的とされています。
極端に炭水化物を抜くダイエット法をよく目にしますが、ゼロにしてしまうのは健康の観点からはオススメできません。
最後の「食塩相当量」ですが、前回の記事でもご説明しました「塩分摂取基準2020年:厚生労働省」で定められた内容によると、成人男性7.5g/日(1食あたり2.5g程度)、成人女性6.5g/日(1食あたり2.2g程度)と設定されています。
しかし世界的にみて日本人は、和食と洋食の組み合わせが多く、塩分摂取量が多い国というデータがあります。
ちなみにWHO(世界保健機関)の基準は5g/日です。
これら栄養成分表示を確認することで、その日の栄養素がどれくらい摂取できているかを意識しやすくなったのではないでしょうか。
さらに、栄養成分表示に加え、原料の原産地表示も義務化されました。
2017年9月1日まで遡りますが、輸入品を除く加工食品の重量割合上位1位の原材料は原産地の表示が必要となりました。
ちなみに、この改正についての猶予期間は、2022年3月31日までとなっています。
「機能性表示食品」制度の新設
2015年よりはじまった食品表示法の改正ですが、その食品の安全性や機能性を科学的な根拠に基づいて、事業者の責任において表示できる「機能性表示食品」制度が設けられました。
これは、企業が独自に試験機関で実証された結果を元に、消費者庁に届け出されたものを指しますが、「特定保健用食品(いわゆるトクホ)」のように、外部の指定の試験機関などで分析や機能が実証されたものとは、扱いが異なります。
あくまで企業側が独自に試験にかけて、実証された結果を届け出たもの、という位置づけです。
「〇〇の吸収をスムーズに」などの謳い文句の回りを確認してみると良いでしょう。
まとめ:あらためて賞味期限と消費期限をおさらい
さて、施行から猶予期間を経て改正された「食品表示法」ですが、栄養成分などが数値で実感しやすい表記方法となり、私たちも、より理解しやすくなったといえるのではないでしょうか?
献立の栄養バランスを考えたり、同じ食材でも複数のものを栄養成分で比較したりと、消費者にとっては有益かつトラブルを減らす取り組みになっていますよね。
最後になりますが、賞味期限と消費期限の違いについてご説明して、今回の記事を結びたいと思います。賞味期限はその食品本来の味や風味がキープできる期限、消費期限はその日を過ぎると食べられない期限のことを指します。似た言葉で戸惑いますが、ここでしっかりと覚えておきましょう。
栄養成分を意識した食材のお買い物で、健康をキープする食事を心がけましょう!